夜の気温が低くなったのか、
朝の散歩コースは、
朝露に濡れて光るようになった。
その分、
黄葉するのも早くなってきたようだ。
今年は、
黄(紅)葉が遅いのに雨が多い。
だから、
十分に黄葉しないで、落ち葉になってしまう。
雨上がりの翌朝。
夜の忘れ物が、しっとりと芝生を覆い、
朝陽で落ち葉が、黄金色に輝いている。
透き通った白い光は、
朝陽のレールにそって滑り降りてくる。
そして、
芝生の上に転がり落ちて、踊り始める。
あまりにも、
エキサイティングなことだから、
芝生は汗をかく。
それが、
ミルキィな水蒸気となって舞い上がる。
…
大地からの喜びを受けて、
陽炎のように、景色が踊り始めたとき、
風が調和をはこんでくる。
そして、
熟しきれない果実のように、
色の優しさだけが、瑞々しく残ってしまう。
だから、
木蔭にあるベンチは、遅い午後の光を、
待ち受けているようだ。
…
ワイカト・リバー沿いに降りていくと、
夏の名残りが聞こえてくることがある。
それは、
夏を惜しんでいるかのように、
細波の音を運んでは通り過ぎていく。
その時、
私たちは、水際の散歩コースで立ち止まっていた。
それからゆっくりと、通り過ぎていく夏の名残りに、
秋の挨拶を送り返す。 |